オーストリア在住日本人 I 氏様からのお便りです
縁無し畳新床--目積表を使用--3枚
縁付き畳新床--半畳--1枚
航空便にて輸送

さて、森田畳店のみごとな畳は、とりあえず枠の一部が完成したので、そこにはめました。
(これ、昨日ここまで完成!)

まあ、日本のお座敷というわけにはいきませんが、完成のおりには、ちょっとオーストリアにはなかなかない、和室ができあがることになります。

枠というか、両脇を30センチくらい、板で囲むことになるのですが、こちらにはこれといった一枚板が見つからず、ちょっと困っています。
最悪は、組み木にして床と合わせようかともいってます。

ということで、まだお部屋は完成していません。

でも、この部屋は大きいスペースで、角が畳なのですが、それを見るだけでも心やすまります。

他の床がまだ全部完成していないので、畳ルームは半分完成のままですが、夏までにはなんとか完成させたく思っています。

さて、感想ですが、はだ触りがいい。ということでしょうか。
これは、欧米の家は板間ですが、これとは違う感覚です。
また、忙しくて昼寝ができないですが、これをするときっと気持ち良いだろうなと思っています。。

こちらは乾燥しているためか、新しい畳はかびが出るとも言われましたが、今のところ青々とした美しいままです。

縁なしを選んだので、まわりの枠を気持ち数ミリ高めにして、たたみを守ってやろうと思っています。この畳はきめが普通のと異なって細かいので、なんだか長持ちしそうな気がします。。また、外国で売っているたたみは縁が一辺倒の黒で、安っぽいんですが、森田さんのところのは立派で、うちのだんなは、「こんなに素敵な縁がつくなら、縁があってもカッコ良かった。。」などどいっています。

ですから、縁有りでも縁の種類や色が豊富なので、これも海外ではなかなか手に入りにくいと思います。大使館の方であれば、滞在国で税金もかかりませんから、郵送代のみで済む訳で、それであれば、ちょっと割高でも良いものを買うというのは、賢い選択かも。。我々は、大変ハッピーです。

また、いただいた半畳のマットは、畳コーナーのそばに置き、軽い荷物置きにするか、あるいはキャスターをつけて椅子兼机にしたらとアイディアはいろいろです。
以上は2000年にお客様から頂いたメールです。


以下のメールは2004年9月に頂いたメールです。
海外で、周りがすべて様式な中で、我が家の畳コーナーは、
唯一、日本らしいスペースです。

そもそも畳購入を思いついたのは、我が家の改装がきっかけです。
狭い物置だった屋根裏を改装し、天井(屋根)を基礎から作り直して、
人が生活できるスペースを作ることにしたのがきっかけです。

オーストリアでは、多くの人がDo It Yourself(日曜大工)をします。
私の連れ合いはウィーン生まれのオーストリア人なので、
週末の趣味として、家の改装をしているのですが、
我が家に移り住んで3年目にこの屋根裏大改装を決行したのです。

さすがに屋根・天井の基礎や、壁を高くする工事は業者にやってもらいました
が、
それ以外は自分たちで作り上げました。
コンクリートの床、壁紙もない大きなスペースをどう使うかで、
いろんな案がでたのですが、
内壁を作らず、がらんとした空間を生かそうということになりました。
このスペースの目的は、家族の団欒の場、書籍類が整理できるスペース、
私の書斎コーナー(日本語のPCなので、私の連れ合いは使えない)
そして、その反対側に、せっかく自分たちで改装するんだから
ウィーンでは、そうそうない空間作りをつくろうと、
畳コーナーを作ることになったのです。

私の実家は、お座敷やミニ茶室がある家だったので、
子供の頃の体験というか、ノスタルジーというか、
そういったものから、畳のある間が欲しいと思いついたんだと思います。
連れ合いに相談したところ、彼も大賛成で、ここから
森田畳店とのお付き合いがはじまったのです。

最初は、現地ウィーンで畳を手に入れようとしたのですが、
畳やフトン・ベットを売っている、自然派のお店には
日本人の感覚では、うーんと腕組みをしてしまうような、
荒い、敷きもゆるゆるの、中国製のTATAMIしか見つけられませんでした。

海外では日本の食材を買い揃えるのも難しいんですが、
それよりも嵩のある畳は、もっと良質のものを得ることは大変です。
そこで、通販で畳を買ったらどうかと思って、
インターネット検索をしてみたのです。

日本畳協会とか、大手家具店とか、いろんなサイトをブラウジングして
偶然にも引っかかったのが、森田畳店だったのです。
そこには、海外からも日本の畳を個人輸入できるという情報が、
写真つきで大変詳しく掲載されていました。
輸入で心配なのは、船便なんかで送ったら、湿度で畳が傷むんじゃないか、
イグサは輸入規制にひっかからないかなどです。
(石の輸入は大変難しいと聞いたことがあったので。。)
自分で細かなリサーチをせずとも、森田畳店のサイトには情報が満載で、
このお店とだったら、信頼を置いて生まれてことのかたやったことのない
畳の輸入ができるかもしれないと思ったのです。

それから、交換した電子メールの数は、かなりの量になっただろうと思います。
役立ったのは、サイトで、畳の種類、畳の中の部分の材質(我が家は、ダイケン
ボード)などのチョイスが写真つきで解説されていることで、
お蔭で、畳の知識がまったくない私でも、なんとか発注にこぎつけたのです。
細かなことですが、畳の縁部分の文様も、サイトで見て選べるようになっていま
した。
現地で手に入るものは、みな黒の縁です。
私は思い切って、縁無しを選びました。というのも、洋式のスペースのコーナー
にさりげなく畳をおきたかったので、どんな縁であっても、ちょっとアクセント
がつきすぎるかな。。と、考えたからです。
後になって思うには、縁があっても大丈夫だったかなとは思いますが。。

話がほぼまとまって、いよいよ正式注文というところまできて、
キャンセルを考えたことが2度ありました。
1つは通常の江戸間サイズでも、サイズが少しだけ大きいことが、
採寸の結果分かったときです。
これは、サイズもちゃんと確認せず、「畳」「タタミ」「TATAMI」と思い込んで
いた
私がうっかりしていたのです。
しかし、ここはさすがプロの畳職人!
我が家のサイズに合わせた、ちょっとだけ小ぶりの畳を3枚仕上げてもらえるこ
とになったのです。

もう1度、諦めかかったのは費用の件です。どうしても船便は不安だったので、
空輸してもらうことにしたのですが、これが畳の値段よりも高いくらいだったの
です。
森田畳店が、都内で一番安い運送屋を探してくれるなど、この点でも
大変な手間とご迷惑をかけました。
実は跡継ぎの森田畳店の若主人は、クラシック音楽ファンで、
沢山交わしたメールのやりとりの中で、
「ウィーンに言ったことはないが、ウィーンフィルのやわらかなホルンの音色が
好きだ。。 その地で、森田の畳を使ってもらえれば嬉しい」というような、
ミニ音楽談義までしていた仲になっていたんです。
また、サイトには輸出情報がいっぱいだったのですが、
実は輸出の調査をしたものの、結局発注にまで至らなかったという経緯など、
店主から正直に説明いただき、日本的ですが、信頼関係が生まれていたんです
ね。

こんなお安い値段でサイズの違う、特注畳を作っていたら、
お店はまったく儲からないだろうなと思っていましたから、
買うほうも、売るほうも最後は「エイヤッ」という感じで
決行いたしました。

空輸だったので、注文から、1週間もたたないうちに畳3枚が到着。
お金を節約するために、輸送は空港置きとめにして、
我々が空港関税で手続きをして引き取りました。
小さな車のハッチバックを開けて、ゴムひもで固定しての運送は
はらはら、どきどき。。ここまで来て、傷つけたら大損失ですから、
緊張しました。

家にきて、梱包を空けはじめると、目より前に鼻に感じたのは、
なんともいえないイグサの香りです。
「ああ、これこれ!」
私も、連れ合いも大感激でありました。

こっからが、また大変でした。すべて、手探り、手作りであります。
日本の畳は、空気が通りやすい設計でないと痛みやすいと聞き、
このコーナーでは、コンクリートの床の上にまずは高さ4−5cmの材木で、
格子状の枠を作成しました。この上に、ダイケンボードを釘で2枚重ねで打ちつ
け、
高さ12−3センチの「床」を作ったのです。
これは改装して、まだ半年後ぐらいの時期でしたから、
コンクリートの湿気がぬけていないと大変だとも思ったからです。
その上に更に3畳の大きさに合わせた薄手のダイケンボードの枠を作り、
ここに畳をはめ込んだんです。

実は、現在は(もう4年もたっているのに。。)
畳が枠から1cmくらい出ている状態になっています。
上質の木で、幅20cmから15センチの枠を最終的にはめ込みたいのですが、
長い木で、良いものと出会えずじまいで、
畳コーナーは、ちょっとだけ未完成なのです。
ただ、外国人には、このあたりがあんまり分からないようで、
友人(オーストリア人)は、大変日本的と言って、
大抵の人はびっくり、感激します。

実は日本人からみるとミスマッチかもしれないのですが、
こちらの骨董屋で買い求めた中国製の箪笥(赤漆)を、畳コーナーのそばに置
き、
フランス製ではありますが、アジア風文様のついた布でカーテン(お手製)を作
り、
もう片方のまどには、すだれをかけて雰囲気を演出しています。
照明も、床に置く、竹と簾をつかったオリエンタル風のものを選びました。

ここは、私のお昼寝ごろりスペース兼、
宿泊者があれば、布団マットを敷いて、ゲストベットにしているんですが、
私たちも2-3ヶ月に1回くらいの頻度で、畳コーナーで寝起きしています。
大変、気持ちいいですよ。寝転ぶと、ぐっと背筋が伸びる感じがあります。

壁が白くてちょっと殺風景だったんですが、1年ほど前に、
友人のお母様が描いた「富士山」の油絵をいただき、それを掛けています。

ウィーン、あるいはオーストリア中探しても、
どこにもない特別なスペース。
ささやかな、日本自慢のコーナーです。
床作りから、装飾まで手作りだというのもさることながら、
何しろ苦労して、迷って、手に入れた畳なので、一層の愛着があります。
個人輸入をしたときは、ずいぶん迷った、高い買い物だったのですが、
今は大満足で、なんで躊躇したんだろうと思うくらいです。


ありがとうございました


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